飲食店経営の質を高める経営指標の見方

飲食店を経営していく上で、日々どのような数字を見ていますか?売上、客数、食材原価等のさまざまな数字がありますが、それぞれをただ眺めるだけでなく経営に活かせているでしょうか?

飲食店を経営するにあたり必ず抑えておきたい経営指標というのがあります。今回は、その経営指標とその求め方、考え方について解説します。

なぜ経営指標を見ることが必要なのか?

飲食店経営というのは決して短距離走ではありません。日々お客様に美味しい料理を提供し、満足いただくことはもちろん大切ですが、その積み重ねによる営業成績が週間、月間、年間の売上を作っていきます。

これらの売上や利益の結果は重要ですが、売上目標や利益目標に対して、なぜ達成できたのか・達成できなかったのかを分析するために経営指標が有効な手段となります。経営指標は結果を見るためのものではなく、その要因やプロセス(過程)を分析するためのツールなのです。

以降では飲食店経営において最重要となる経営指標について紹介していきます。

FL比率

FL比率とは、売上高と飲食店経営における主要コストである食材原価(Food)と人件費(Labor)の関係を表す指標であり、以下のように計算式で表されます。

FL比率=(食材原価+人件費)÷売上高

FL比率が重要な指標なのは、飲食店経営において食材原価と人件費がコストに占める2大要素であるからです。一般的にはFL比率は60%以下が望ましいとされています。また、テナント店舗の場合は家賃(Rent)を含めたFLR比率で考えると良いでしょう。FLR比率の場合は70%以下が目標とするべきです。

また、FL比率は現在や過去の数値を把握することも重要ですが、FL比率の目標を設定し、それを達成するために必要な売上高やコストの水準をシミュレーションすることも可能です。

売上高の要素分解

売上高は切り口によって様々な要素に因数分解することができます。例えば、

売上高 = 客数 × 客単価

さらに客数は、

客数 = 客席 × 客席回転率

客単価も、

客単価 = 注文点数 × 商品(平均)単価

と分解することができます。

なぜこのような売上分解が効果的かと言えば、

売上が上がった・下がった要因が何なのかを把握し、具体的な対策につなげることができるからです。例えば、同じ売上が下がったという結果にしても、客数が減っているのか、客単価が下がっているのかで打つべき対策は異なってきます。

さらに、高度なレベルを目指すならば、売上の要素ごとに週間、月間、年間のターゲット(KPI)を設定し、定期的にモニタリングすることで飲食経営の質がグンと高まります。

まとめ

飲食店経営において経営指標を分析ツールとして活用することで、売上の変動要因やプロセス(過程)がよりクリアに見えるようになります。特に重要な指標として、

FL(R)比率

売上高の要素分解

が挙げられます。これらの指標数値の結果を見るだけでなく、ターゲット(KPI)を設定し定期的にモニタリングすることや、シミュレーションをしてみることで飲食経営の質を高めることに繋がります。

いかがでしょうか。飲食店経営は単純においしい料理をお客様に提供するだけでは不十分なのです。これらの経営指標を把握し、「気がつけば業績が悪化し閉店することになった」という状況に陥らないように気をつけましょう。

当研究会では中小企業診断士資格を持つ様々なメンバーが、飲食店の診断実務ができる人材の育成と組織体制の構築を目的として、会員の経営診断技術の研鑽や、研究会の診断ノウハウの蓄積を行っております。

具体的には、研究会(月1回)の飲食業界に関する調査研究や、オープンセミナーの開催、プロジェクトチームでの飲食店支援実務など、幅広く活動しております。

(詳細は「研究会活動」「提供サービス」のページをご覧下さい)

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