【4P戦略シリーズ第1弾】販促活動に必要な4つの切り口!~吉野家でみる4P戦略~

飲食店で重要なのは販促だと思います。
どれだけおいしい料理を提供できたとしてもそれだけではお客様が来ることわけではなく、
販促がしっかりできている必要があります。
また販促は1つだけの方法では効果がでないこともあり、
多角的な面から複数の手段で販促をする必要があります。
販促の切り口として4Pというのがあります。
これは販促活動を
Product(商品)、Place(立地、場所)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)
という4つに分けたものです。

今回は吉野家の4P戦略から販促事例を見ていきたいと思います
みなさまは吉野家というとどのようなイメージを持つでしょうか?
「早い、安い、うまい」というスローガンのもと、
忙しいサラリーマン向けというイメージがあるのではないでしょうか。
ただその裏には緻密に計算された販促のための4P戦略があります。

①吉野家のProduct戦略 ~ラインとアイテムを増やす~

まずは製品(Product)に関する販促です。
吉野屋と言えば、もちろん牛丼なのですが、期間限定メニューも多く登場しています。
2019年12月に発売された、ポケ盛では、子供を中心にとても人気になり、
売り切れ続出となり話題になりました。
その後も何度も、ポケ盛りは再登場しており子供に人気の限定メニューとなっています。
このように吉野家はターゲット層を従来のサラリーマンから、
親子連れや子供をターゲットも取り込むための販促活動に成功しました。
それ以外にも糖質制限ブームの際にはライザップとコラボし
「ライザップ牛サラダ」を商品に加えることで
ダイエット中や健康志向の方もターゲットにすることができます。

これらは商品の幅であるラインを増やすことに繋がり、新しい新規顧客を獲得していった事例です。
また商品数を増やすだけでなく、既存の商品を少し変えることで、品数を増やすこともできます。

例えば、以前、吉野家の牛丼は並盛、大盛、特盛の3サイズありました。
最近では、女性向けに、少し量を減らした「小盛」、また力仕事をしておりもっと食べたい人向けの「超特盛」も追加され商品の深さも増えています。
他にも、通常よりも乗っている具が多い「アタマの大盛」というのもあります。
これはもともとは裏メニューだったそうです。
このように現在は牛丼でも6つのサイズから選ぶことができます。

また正式メニューではないですが、「ネギだく」「つゆだく」「つゆだくだく」などの特別注文もあります。
少しマニアックなものだと、肉や玉ねぎ、つゆをご飯の下に盛り付ける「肉下」、脂身の多い肉を寄せ集めて盛り付けてくれる「とろだく」なんていうのもあるみたいです。
参考:favy https://www.favy.jp/topics/19581

これらのサイズの変更や特別注文は同じ商品でもアイテムの深さを掘り下げることにつながり、
おなかの空き具合に応じたサイズの変更、好みに合った特別注文による微調整などができます。
牛丼の出し方一つとっても、様々な製品の提供の仕方があり、それが販促活動につながります。

②吉野家のPlace戦略 ~ファミリー層をターゲットにC&C店舗~

次に立地(Place)に関する販促の方法です。
最近の吉野家は女性やファミリー層の獲得のため
オレンジ色の看板ではなく、黒を基調とした看板のお店の出店もされています。
これは、クッキング&コンフォート(C&C) 店舗というコンセプトのお店で
C&C店舗は従来店舗と比べて、売上は10%増えると言われています。
吉野家の2022~2024年の中期経営計画ではこのC&C店舗を3年間で500店舗増やす方針です。

この新店舗では牛丼だけではなく、唐揚げも一緒に提供しています。
そして唐揚げと言えば、子供が好きな人気のおかず1位です。

参考:PR TIMES

​【調査結果】子どもが好きなお弁当のおかずは?1位は『唐揚げ』! | ARINA株式会社のプレスリリース

ARINA株式会社のプレスリリース(2022年7月5日 07時00分)​【調査結果】子どもが好きなお弁当のおかずは?1位は『唐揚げ』!

このように徐々に、吉野家は男性サラリーマンだけをターゲットとするのではなく、
ファミリー層もターゲットとしてきており、戦略の転換を図ろうとしています。
顧客層の拡大をするためにC&C店舗で店舗の改革を行う立地戦略と、
新しい商品ラインナップを追加するという製品戦略も同時に行い
複数の視点から販促活動を実施した例といえます。

③吉野家のPrice戦略 
~値下げではなく、お得感もアピール~

吉野屋は大きく値下げの戦略は取っていないです。
むしろ、どの牛丼屋チェーン店もそうですが、
薄利多売のビジネスは原価高騰が利益に直接影響を与えるので
頻繁に値上げを伴う値段の変更はしております。
昨今では食材の原価高騰の影響も受けて、並盛が426円に値上げしましたが
それでも卵をつけてもワンコインで食べれるのは「安い」といえるかと思います。

最近ではクーポンを配布するなどして、再来店の機会を増やす取り組みなどもしています。
また定食のご飯大盛無料、おかず2倍なども量を増やしてコスパを良く見せる施策といえます。
このようにお客様にお得感を感じてもらうのも、販促活動では気にしていきたいところになります。

④吉野家のPromotion戦略 
~ターゲット層を男性から女性・ファミリー層へ~

最後にプロモーション(Promotion)戦略による販促をみていきます。
どんなに素晴らしい商品や企画をしたとしても人に気づいてもらわないといけません。
吉野屋では駅前で人通りの多い所に立地していることが多いので、それらを販促に活用し
店舗前に期間限定メニューのポスターを配置し、期間限定商品を訴求しています。

例えば吉野家は人気アニメ“呪術廻戦”でコラボなどをした時も
ポスターを店舗前の人通りの多い場所に配置して、見てもらうようにしてます
人気が上昇しているものに乗っかることで、
話題性を高めることにもつながり新規顧客獲得につながります。
このように普段牛丼を食べない人に、
どのように興味を持ってもらうかを考えるのも効果的な販促です。

また前述したC&C店舗を増やすのも
これまでの「吉野家=忙しい男性が短時間でご飯を食べる店」というイメージから脱却し
女性やファミリー層の入りやすくゆっくり食事できるイメージを訴求することにもつながります。
そうすることで、新規顧客を増加することにもつながっていく販促事例といえます。

まとめ

今回は4Pを切り口で吉野家を見てきました。
実際に見てみると様々な切り口から複数の手段を取っているのがわかります。

また、C&C店舗の施策の例では
Place(店舗の内装)を変えながら、Product(唐揚げの追加)もするなど
店舗のコンセプトを変えてターゲット層の変更、新規顧客の獲得にもつながります。
是非、このように複数の切り口から販促活動を見直してみてはいかがでしょうか

なお、同じく4Pの切り口で「コメダ珈琲」を分析した記事もあります。
業界が変わるとまた違った視点の気づきもあると思うのであわせてこちらもご覧ください。

【4P戦略シリーズ第2弾】どのようにしてコメダ珈琲は店舗数を増やしてきたのか?

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