客席回転率を意識して売上アップを目指そう!
前回のコラムにて売上の分解要素としての客席回転率を紹介しましたが、本日は回転率について深堀りしてみたいと思います。
売上の分解公式により ↓ (前回ご参照)
売上 = 客数 × 客単価
客数 = 客席数 × 客席回転率
と表すことができます。
売上を上げたいとすれば、
- お客様にもっと来ていただく(客数の増加)
- お客様にもっと注文していただく(客単価の増加)
ことが必要となります。
ここで重要となるのが、当たり前ではありますが、飲食店では客席数以上のお客様に同時にサービスを提供できないという大前提になります。(客席以上に提供する手段としてテイクアウトという手段がありますが、テイクアウトについてはまたの機会にお話するとして、ここでは店内で飲食をする人数に絞って説明します)
客席数を増やすには、店舗面積に占める客席面積を増やすか、店舗面積自体を増やすことが必要ですが、大規模に行うにはリフォーム費用や追加的な賃貸コスト等の固定費の増加を伴いますので難しいですね。
客席面積を増やさずとも、これまで4人用の席を6人席として活用するなどをすれば客席数を増やすことができるかもしれませんが、昨今の新型コロナウイルス対策としての、ソーシャルディスタンスを確保するという感染防止対策に逆行するため、新しい生活様式の中では困難です。
よって、現在の客席数を前提に、1日に何人のお客様に席に座っていただいたかを示す回転数を考えることが売上アップに重要なのです。
客席回転率は、来店客数を客席数で割ることで計算できます。
客席回転率 = 来店客数 ÷ 客席数
客席数が20席の店舗で40人の来店客であった場合は、回転率は2回転と計算できます。客単価が同じだとしても、回転率が1回転なのか、2回転なのかでは売上は2倍違う計算です。
客席回転率を上げることが売上アップに直結することが理解いただけましたでしょうか。
では、回転率を上げるためにはどのような施策が有効なのかについて見ていきましょう。
料理を手早く提供する
お客様が着席してすぐに料理を提供するためにはどのような工夫ができるでしょうか。料理を提供するためには、お客様がメニューを決める⇒オーダーが入る⇒調理する⇒提供するという順序ですが、
- 並んでいる間にメニューを決めてもらい、注文を受けておく
- ピークタイム時はメニュー数を絞る
等が考えられます。
客回転時のリードタイムを短くする
食べ終わったお客様へのバッシングにより退店を促すことで回転率の向上に繋がります。ただし、バッシングを不用意に行うと顧客満足度の低下につながるので、気をつけましょう。
また、アイドルタイムにおいてはお客様の滞在時間を長くすることで、店舗が繁盛していることが店前通行人へアピールでき、販促効果に繋がります。バッシングはピークタイムに限定するのが良いでしょう。
食事が終わって会計している間、次のお客様をお待たせしてしまうのも回転率を悪化させることになります。食券制による前払いや店舗スタッフの役割分担を明確にし、席が空いているのにお待たせしてしまわないように注意しましょう。
ピークタイム時の相席利用をお願いする
ピークタイム時に複数人席にお一人様を同時にお通しできると回転率は大きく向上します。ただし、お客様によっては相席利用を嫌がる場合もあるので、店内のわかりやすい位置にピークタイム時の相席利用をお願いする張り紙の設置、席案内の際に相席利用となる旨を申し添えるようにしましょう。
また、相席利用をして頂いた際には1品サービスなどの具体的なインセンティブを提供することも効果的です。
アイドルタイムの稼働率を上げる
オフピーク時の需要を積極的に取り込むことも回転率向上には重要です。ランチ営業がメインの店舗でも、カフェメニューや早い時間でのハッピーアワー等の施策により客数を増やすことで回転率を上げることが重要です。
まとめ
客単価が同じだとしても、回転率が1回転なのか、2回転なのかでは売上は段違いになります。客席回転率を上げることが売上アップに直結します。
客席回転率を上げるためには、
- 調理提供などのリードタイムを短くする
- ピークタイム時の相席利用をお願いする
- アイドルタイムの稼働率を上げる
等の施策が有効です。
いかがでしょうか。当研究会は、飲食店の課題解決提案を行うためのスキル向上を目的としている研究会です。
飲食店の診断実務ができる人材の育成と研究体制の進化を目的として、会員の経営診断技術の研鑽や、研究会の診断ノウハウの蓄積を行っております。
具体的には、研究会(月1回)の飲食業界に関する調査研究や、オープンセミナーの開催、プロジェクトチームでの飲食店支援実務など、幅広く活動しております。