【4P戦略シリーズ第4弾】徹底した効率経営で低価格を維持 ~サイゼリヤでみる4P戦略~

サイゼリヤは手軽に食べれるイタリアンとして、昔から親しまれています。
ミラノ風ドリアは300円で食べれて、庶民の味方です。
そんなサイゼリヤですが、徹底した低価格路線の中に色々工夫があります。
今回は4Pシリーズ第4弾としてサイゼリヤを分析してみたいと思います。

Product戦略:徹底して効率化された店内調理と新しい挑戦

サイゼリヤの有名な話としては厨房に「包丁」がありません。
セントラルキッチンで加工された食材を温める・盛り付けるだけに特化することで
従業員教育の内容を絞ることができ、アルバイトでも即戦力となることが可能です。
誰が作っても同じ味を、効率化された工程により、短時間で提供可能となります。

私も新宿店の朝サイゼに行ってみましたが、
 ・焼きシナモンフォッカチオ(ドリンクバー付き)400円
 ・ほうれん草のソテー 200円
                   合計:600円
十分な量をリーズナブルな値段でモーニングできました。

2026年1月時点で朝サイゼを行っているのは14店舗(東京9店舗、千葉4店舗、埼玉1店舗)です。
サイゼリヤのWebサイトによると今後この「朝サイゼ」を増やしていく方向性のようです。
モーニングの時間を開始することで、
新規顧客の獲得、既存設備の稼働率を高めることにもつながります。

Place戦略:国内の居抜きや空中店舗活用×海外の新規市場開拓

サイゼリヤは「居抜き」や「空中店舗」を活用する出店戦略を採用しています。(空中店舗:2階以上の空中階の出展)
これらの意図は家賃コストを抑えることで、抑えたコストを低価格の提供へとつなげていくためです。

ただ、その際にも「店舗では包丁を使わない」というのが活きてきます。
セントラルキッチンから食材が届くため、サイゼリヤは広い厨房設備が必要ありません。
そのため、本来はカフェや狭い飲食店だった跡地でも、サイゼリヤのオペレーションなら回せてしまうという技術的背景があります。
このように他チェーン店では出店できない店舗でも、サイゼリヤなら出店できてしまうという強みがあります。

さらに2025年Annual Reportによると、
アジア圏への積極的な出店、オーストラリアへの進出などで
人口縮小で市場縮小の見込みある国内ではなく
海外にも展開することで、国内依存から脱却しようとしています。
もちろん大手のみが取りうる戦略ともいえますが、
伸びていく市場に店舗展開をすること、という視点では非常に重要です。

Price戦略:価格設定とコスパの維持により、50カ月連続売上増加

コロナ禍以降、外食各社が値上げを進める一方でサイゼリヤは値上げせず、低価格路線を継続しています。
最新の価格改定は2020年7月に行った「99円」などの端数表示終了で、それでも値上げのほとんどはわずか1円です。
これにより税込価格の末尾を「00円」または「50円」に統一し、キリがいい価格となりました。
代表的な例: ミラノ風ドリア 299円 → 300円

これは小銭の受け渡しを減らし、レジの時間を短縮するためです。
50円単位にすることで、1円・5円・10円硬貨のやり取りが激減しました。
お釣りの受け渡しがスムーズになり、レジ待ちの列が解消したそうです。
また、500円や1,000円などキリの良い数字になるため、グループ客が
「ちょうど1,000円だからまとめて払っておくよ」となりやすく、
個別会計の手間が減ったというデータもあります。
しかし、価格が低価格なので売上は低迷しているかというとそうでもありません。

2026年1月時点で50ケ月連続で売上増加を記録しています。
売上は、「売上=客数×客単価」に分解できますが、
2025年8月期決算報告資料によると「客数」も「客単価」もどちらも
5年連続で上昇しています。

価格戦略が見事にターゲット顧客に刺さっていることがわかります。
増加している原因までは記載ありませんでしたが
・客数:他の飲食店が値上げする中、価格維持による割安感の向上
・客単価:HPによるクロスセル提案(次のPromotion戦略参照)
などが原因でしょうか

Promotion戦略:クロスセル推進で客単価向上×口コミ誘発施策

低価格で美味しい料理を提供するサイゼリヤですが、
サイゼリヤの魅力は複数の料理を組み合わせて食べることにあります

創業者の正垣泰彦氏は創業期にイタリアにビジネスのインスピレーションを求めて旅をしていました。
その旅の最後に訪れたローマの「リストランテ・マリアーノ」で以下のように感じたようです。

マリアーノでは、食事に合わせた食前酒、ワイン、食後酒を選ぶことができ、蒸気で抽出したエスプレッソ、カプチーノなど、コーヒーも多彩でした。
水でさえ、ガス入りとガスのないものがあり、とても驚きました。
料理には食べる順序があり、素材を活かした料理はシンプルで、組み合わせることでさらにおいしくなるものでした。
特にワインと合わせると、料理とワインが互いを引き立て、変化するおいしさに、「これが食事の豊かさだ」と衝撃を受けました。
(サイゼリヤHPより抜粋)

そのインスピレーションは今のサイゼリヤにも活かされており、アレンジレシピや組み合わせを
サイゼリヤのHPに掲載しており、単品でなく、組み合わせで食べてほしいという
創業者の願いが込められたものになっています。

またプロモーションでいうと、以下もあります。
・広告を出さない:TV CMやネット広告を出さず、広告宣伝費を節約し、価格の安さに還元
・体験型エンタメ:キッズメニューに難易度高い間違い探しを掲載
お金をかけることがプロモーションではなく、アイデアや工夫でお金をかけないプロモーションもできる好例ですね。

さいごに

サイゼリヤはレストランではなく、製造直販業(SPA)です。
ユニクロやニトリと同じ構造を外食で実現していることが、最強の強みです。

サイゼリヤのHPにも以下の記載があります。

製造直販とは、自ら素材開発・原料の調達→加工→配送→店舗での提供までの一連の流れを自社で一貫して行うことです。
最大のメリットは、品質と価格を自分たちでコントロールできることです。
間に人や問屋を挟まず、お客様の立場で品質を決めながら、無駄なコストを省き、理想の味と価格を追求することができます。
また、原料は、店舗で調理しやすいように自社工場で加工して、すぐに使える形で届けています。
それにより、片づけや保管がしやすく、調理の手間も軽減され、品質の安定と提供時間の短縮を実現しています。



サイゼリヤは飲食店でありながら製造業と同じような発想で、業務効率化を図っています。
そして他社と比較して圧倒的な低価格で販売するために、ビジネスモデルから精緻な設計をしているようです。
大企業の手法とも言えますが、参考にできる部分はあると思うので、参考にしてみてください。

他の企業の4Pも以下にまとめていますので、ぜひ他の記事も読んでみてください。

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