飲食店の売上を伸ばすには「回転率向上」がポイント

飲食店の売上を増やす方法として、「客単価・客数の向上」がよく挙げられます。この中で、特に固定費の影響を受けにくく、
効率的に売上・利益を増やせるのが「回転率の向上」です。

回転率とは、一定時間内にテーブルが何回入れ替わるかを示す指標であり、これが高まるほど売上が向上します。本記事では、
回転率を高めるために有効な3つの具体的な施策を、実際のデータや事例を交えて紹介します。

1.メニューの「リードタイム」を短縮して、入店待ち+離反を防止することで「客数を増やす」

飲食店における回転率は、料理の提供スピードに大きく左右されます。注文から料理が提供されるまでの時間、すなわち
「リードタイム」を短縮することで、1回の食事時間を短くし、回転数を上げることができます。

回転率を上げるためには、料理を速く提供し、お待たせしないことが回転率向上へとても効果的です!

今回は特に「リードタイム短縮」については、後程詳しくご説明致します。

2.客席レイアウトを最適化して「席数を増やす」

回転率を上げるには、店内の座席の配置や動線を工夫することも重要です。広々とした席は快適ですが、
必要以上にスペースを取ると席数が減り、機会損失につながります。

具体的な施策例:
2人席と4人席のバランスを調整(例:4人席を可動式にし、2人席としても活用できるようにする)
動線を整理し、スタッフの移動をスムーズに(例:ホールスタッフが回りやすい配置にする)
カウンター席を活用し、一人客の回転率を上げる

3.会計のスムーズ化で滞在時間を短縮

食事が終わった後、会計に時間がかかると回転率が下がります。特に混雑時には、会計待ちの時間が長いと次の客を受け入れにくくなります。

具体的な施策:
キャッシュレス決済を導入(例:QRコード決済やセルフレジを活用)
会計時のスタッフ負担を減らす(例:卓上タブレットで事前会計できるシステムを導入)
・ラーメン店などの事例としては、券売機を設置し、事前会計課することで会計時間を短縮することはメジャーです。

上記の3つが「回転率」向上へ有効です。
今回は特にリードタイム ≒ 「料理の提供スピードUP」 へ有効な施策を考えていきます!

リードタイム短縮への有効な打ち手

事前仕込みと調理プロセスの最適化

リードタイムを短縮するには、注文が入ってからの調理工程を極力減らし、素早く提供できる仕組みを作ることが重要です。
そのために、事前仕込みと調理プロセスの見直しが効果的です。

具体的な方法:
食材の事前下処理: 野菜のカット、肉の下味付けなどを営業前に済ませ、調理工程を簡素化
半調理品の活用: 低温調理や真空調理を活用し、注文後に加熱するだけで仕上げられる状態にする
作業の標準化: 各調理工程の時間を計測し、最短時間で提供できるようにフローを見直す

事例:熊本市の老舗郷土料理店「青柳」の取り組み

飲食店における事前仕込みと調理プロセスの最適化の成功事例として、熊本市の老舗郷土料理店「青柳」の取り組みが挙げられます。

​同店は2021年、調理スタッフの長時間労働を改善するため、仕込み専用の工場を新設し、以下のようなデジタル技術を導入しました。​

①在庫管理の効率化:​在庫情報の共有に「zaico」アプリを導入。工場スタッフが品目と個数をアプリに登録すると、店舗スタッフはいつでも在庫情報を確認することができます。 アプリの導入により、課題であったスタッフが休みの際の在庫確認が可能となりました。

②AIによる品質管理:仕込みで食材をカットする際、サイズのばらつきを防ぐため、適切なサイズにカットできているか確認する必要があります。しかし、確認作業は時間がかかるだけでなく、多くの指摘が生じることで、確認する側とされる側の双方でストレスを感じる作業となっていました。そこで、崇城大学情報学部と連携し、AIを活用したシステムの開発に取組みました。カットした食材の写真を撮影し画像をアップロードするだけで、AIが自動的にサイズ識別と個数のカウントを行うようにしました。

③自動練り機の導入:​高温での練り作業を自動化するため、練り機に温度センサーを取付けました。この温度センサーの設置により、温度75度以上で1分以上練った場合に通知が鳴る仕組みが整えられ、スタッフの作業負担が大幅に減りました。

④温度管理システムの導入:​冷凍庫の温度をスマートフォンで遠隔監視し、異常時にはアラートが通知される仕組みを構築しました。このシステムの導入により、工場が無人の際でも適宜温度を確認することができ、停電などによる緊急の際でも、通知によりすぐに対処に動く仕組みが整えられました。


出典:くまもとDX推進コンソーシアム

https://kumamotodx.jp/case/post-12017

キッチンオペレーションの効率化

リードタイムが長くなる原因の一つに、「キッチンの動線の悪さ」や「調理担当者の役割分担の不明確さ」があります。
これを解消することで、提供スピードを大幅に向上できます。

具体的な方法:
作業エリアの最適化: 食材の配置、調理器具の置き場所を見直し、最短距離で作業できるようにする
役割分担の明確化: キッチン内で「調理担当」「盛り付け担当」などを分け、混雑を避ける
動線の改善: 料理を運ぶスタッフと調理スタッフの動線が交差しないように配置を調整

事例:マクドナルドの厨房運営改革

Made For You
「メイド・フォー・ユー(MFY)」システムとは、お客様からご注文をいただいてからバーガー類を調理するマクドナルドオリジナルのシステムです。お待たせせずにできたてのおいしさをご提供すると共に、食品廃棄を可能な限り削減することを目的に開発し、2005年に全店導入が完了しました。MFYシステムの導入前と比較すると、完成品商品の廃棄は半分以下となり、食品ロスの削減につながっています。

出典

https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/environment/madeforyou

デジタルオーダーシステムの活用

注文のタイミングをスムーズにすることも、リードタイム短縮の大きなポイントです。特に、注文の取り間違いや、
オーダーが厨房に伝わるまでのタイムラグをなくすために、デジタルオーダーシステムの導入が有効です。

具体的な方法:
モバイルオーダーの導入: 客が自分のスマホから直接注文できるようにし、スタッフの負担を軽減
タブレットオーダー: 各テーブルにタブレットを設置し、注文ミスを防ぎながら即時オーダーできるようにする
POSシステムとの連携: 注文が入ると即座にキッチンへデータが送られる仕組みにし、提供までのタイムロスを削減

飲食業界において、リードタイムの短縮が客数増加に寄与した具体的な事例として、マクドナルドの取り組みが挙げられます。​同社は厨房システムを刷新し、注文から50秒以内での調理、90秒以内での提供を実現しました。​この迅速な提供により、顧客の待ち時間が大幅に短縮され、店頭在庫をゼロにすることにも成功しています。​

まとめ

リードタイム短縮は、飲食店の回転率向上に直結し、結果として売上アップにつながります。
今回紹介した3つの手法は、すぐに取り入れやすく、効果も期待できるものです。

事前仕込みと調理プロセスの最適化:調理工程をシンプルにし、提供時間を短縮
キッチンオペレーションの効率化:動線を見直し、スタッフの作業をスムーズにする
デジタルオーダーシステムの活用:オーダーミスを防ぎ、注文から提供までの時間を短縮

これらの施策を導入し、リードタイムを改善することで、売上アップと顧客満足度向上の両方を実現しましょう!

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です